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就職氷河期世代と現在の市場価値 - 失われた時代を生き抜いた私たち

  • 執筆者の写真: M Shingo
    M Shingo
  • 10月6日
  • 読了時間: 3分

更新日:10月22日

グレーのタイルが敷かれた都会の歩道を、赤い上着を着た人が歩いている。上から見下ろす構図で、無機質な街の中に人の存在が際立つ。
立ち止まる時間も、歩き出す勇気も、どちらも人生の一部。

就職氷河期世代と現在の市場価値 - 失われた時代を生き抜いた私たち

1.「努力すれば報われる」と信じていた時代に

バブル崩壊のあと、私たちは“就職氷河期”と呼ばれる時代を生きました。求人の数は激減し、大学や専門学校を出ても内定がもらえない人があふれていた。「努力すれば報われる」という言葉が通じなかった時代。それでも社会に出るために、必死で働く場所を探し、派遣や契約社員としてキャリアを積み上げるしかなかった。

あの頃の私は、「正社員」という肩書に執着しながらも、現実とのギャップに何度も心をすり減らしました。“社会に必要とされない”感覚は、自己否定と紙一重でした。


2.時代が変わり、「市場価値」という言葉に出会って

40代、50代になった今、社会は「人手不足」と言われています。でも、求人を見ると若手やDX人材、即戦力という言葉が並び、就職氷河期世代はまた“年齢の壁”にぶつかる。

そんな中でよく耳にするのが「市場価値」という言葉。昔は会社にしがみつくしかなかったけれど、今は“個人が選ばれる時代”になった。皮肉なことに、若いころ不安定な環境で働いてきた私たちだからこそ、今の変化に対応できる柔軟さを持っている。

転職や独立、副業など、働き方を自分で選ぶことが当たり前になった今、私たち就職氷河期世代が持つ「しぶとさ」「耐える力」「試行錯誤の経験」は、むしろ強みになっていると感じます。


3.「報われなかった世代」から、「再構築できる世代」へ

正直に言えば、今でも劣等感を感じる瞬間はあります。あの頃のチャンスを逃した悔しさや、「何かが欠けている」という思いは消えません。

でも最近、少しずつ思うようになりました。私たちは“失われた世代”ではなく、“再構築できる世代”なのだと。新しいスキルを学んだり、過去の経験を言語化したり、一度キャリアが止まったからこそ見える「生き方の自由」がある。


市場価値という言葉に振り回される必要はありません。むしろ、これまで「当たり前」と思ってやってきた仕事の中にこそ、今の時代が求めている価値が隠れています。例えば、限られた人員で現場を回してきた段取り力、クレーム対応で磨かれた調整力、派遣や契約の立場で築いた人間関係のしなやかさ。それらはすべて、今の社会が必要としている“実務の知恵”です。自分の中にあるそうした経験を言葉に置き換えたとき、それがまさに「再発見」と呼べるものになるのだと思います。


4.おわりに

就職氷河期世代は、社会の変化を身をもって経験してきた“生きたデータ”のような存在です。未来を諦めるには早すぎる。私たちはまだ自分の価値を再設計できます。

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